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出窓の怪

昔まだ私が働いていた頃、毎日通る道にある建物があった。

三階か四階の建物なのだが、全ての部屋に出窓が付いていた。

それだけなら何と言う事のない建物なのだが、ある時、その出窓の中に障子が付いているのに気がついた。

普通出窓なら、障子じゃなくてカーテンでしょ・・・と思って眺め始めたその窓の中なのだが、何か違和感があるのに気がついた。

一階から最上階までの出窓の中、全て何も置いていないのだ。

窓は開閉できるタイプのガラスではなく、カーテンもないから、素通しで出窓の中が全部見えるのに、その棚のようになっている場所に何も置いてない・・・。

普通アパートなんかの出窓なら、その場所には所狭しと雑物が置いてあったり、花などが飾ってあったり、ぬいぐるみがあったり・・・と、とにかく何かが置いてあって、全く何もないという建物は見た事がない。

一体あの建物は何なんだろう・・・。

気になって、それから毎日通るたびに、その出窓の中を観察していた。

しかし、毎日毎日見ていても出窓の中は変わる事もなく、障子さえも動く事が無かった。

閉まったまま。

私は、多分あの建物は、もとアパートかマンションだったのだが、今は全室空き部屋になっているものじゃないかと推測した。

だって、障子が立ててある和室の会社なんてあまりなさそうだし、居住として使っている部屋なら、全部の出窓に何も置いてないなんて言う事は、和室の会社よりあり得ない気がしたから。

が、その推測は一ヶ月後ぐらいには外れてた事が分かった。

窓を見始めてから一ヶ月後、珍しく障子が少し空いている部屋があった。

お、今日は障子が開いているし・・・と見ていたら、中から人の手が出てきて、もっと障子をあけたのだ。

ただし、その手の角度からして、畳の上に座っていて障子に手を伸ばした様子。

中に人がいるんだ!

和室なんだ!!

ちょっと衝撃だった。

じゃあ、何で出窓に何も置いてないんだろう?

どうしてこんなに生活感がないんだろう?

次々と疑問が湧き出してきて、その建物に対する謎は深まるばかり。

だが、それから後、私が働いていた期間では、その建物の謎は分からなかった。

毎日見ていても、障子が開く事も、出窓に何かが置かれる事も、それからは無かったのだから。


その建物が何だったかは、それから数年のち、ニュースで知る事になった。

それは、ひどい経営状態で訴えられた病院だった。

私が何か分からなかった出窓の部屋は、今時珍しい和室の病室で、私が見た人の手は、そこに入院していた人のものだったのだ。

現代の話とは思えないようなひどい待遇をして、その病院の院長は警察に捕まった。

病室の出窓を飾るどころの話ではなかったのだ。


今はどうなっているかよく知らないが、私が感じた違和感は、その当時のその建物で感じて当然のものだったのだと思う。

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月野

Author:月野
現在、病気療養中の四十代の女性。
最近少し忙しいので、あまり記事も書けないし、コメントの返事も遅くなるかもしれません。
ですが、過去の記事にコメントいただけるのは嬉しいので、歓迎しています。

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