スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
line

創作③ 「Wと窓」

友人Wは、閉め魔だった。

「閉め魔」というのは俺の作った言葉だが、とにかく全てのドアというドア、窓という窓を閉めまくる奴のことだ。

ある冬も終わろうという日、いつものように突然やってきたWは、いきなり家の中へ入ってきて開口一番にこう言った。

「おい親友、冬だっていうのに窓が開いてるぜ。」

「空気の交換だよ。」

「空気の交換なら二分も開けときゃ充分だ。もう閉めるぜ。」

そう言って開いている窓を閉めた。

ついでに家中を点検しまくって、家の中のドアまで全部閉めている。

パタン、パタンと家中のドアがしまる音がした後、Wが怒って居間に戻ってきた。

「おいお前、風呂を湧かしているのに、風呂場の入口が閉めてなかったぞ!」

「いいじゃないか、開けといたって。」

「お前、馬鹿じゃないのか。風呂湧かしてるんだったら、入口ぐらいちゃんと閉めとけよ。」

・・・馬鹿はお前の方じゃないのか。

なんでそんなに閉めるのが好きなんだ。

そう思ったが、どうだっていいので何も言わないでおいた。

ドアを閉めるのに一段落したWは、いつものごとく冷蔵庫へ直行した。

中身を食い漁っている間、冷蔵庫のドアは開けっぱなしだった。

そこはちゃんと閉めとけよな、全く。

ひとしきり中身を食べ終えると、Wは機嫌が良くなっていた。

「いやー、今日は冷蔵庫の中に珍しくケーキがあったぜ。うまかったな。」

どうやらもらい物のケーキを全部食べ尽くしたようだ。

ま、俺は甘いものは苦手だから、ケーキがなくなってちょうどいいけど。

ご機嫌のWは、それから俺に向かって延々と、ドアを開けとくという行為がいかに防犯上危険な行為かという演説をぶってから帰っていった。

風呂場の入口についての説明はなかったが。


しばらくWは、家に来なかった。

春も盛りという頃、またWは突然家にやってきて、開口一番こう言った。

「おい親友、春だっていうのに窓が閉まってるぜ。」

「いいじゃないか。俺、花粉アレルギーなんだ。」

「何言ってんだ。花粉アレルギーぐらい気合いで治せよ。」

そう言うとWは、家中の窓を開け始めた。

窓を開けるついでに、網戸まで全部開けている。

それが終わると家の中のドアを点検して、閉まっているドアを全部開けていった。

Wが居間に戻ってくると、怒って俺にこう言った。

「おいお前、風呂も湧かしてないのに、風呂場の窓も入口も全部閉まってたぞ!あんな事しといたら、カビだらけになっちゃうじゃないか。」

Wは「開け魔」に変身していた。
line

comment

Secret

line
line

line
プロフィール

月野

Author:月野
現在、病気療養中の四十代の女性。
最近少し忙しいので、あまり記事も書けないし、コメントの返事も遅くなるかもしれません。
ですが、過去の記事にコメントいただけるのは嬉しいので、歓迎しています。

line
最新記事
line
最新コメント
line
カテゴリ
line
月別アーカイブ
line
最新トラックバック
line
sub_line
検索フォーム
line
リンク
line
RSSリンクの表示
line
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

line
QRコード
QRコード
line
sub_line
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。