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『自分史』

昔、国立国会図書館に勤めていたある人から聞いた話を書こう。

国立国会図書館は、日本で刊行される全ての本を納めることが、法律によって義務付けられている。

だが時々「これは本なんだろうか?」と考えさせられる本が送られてくる事もある。

彼が若い頃、やはり本かどうか判断に迷うような本があり、彼は「これは本ではない。」と主張した。

しかし彼の上司に当たる年配の人が、「いや、これは本だ。蔵書に加えよう。」と押し切り、結局蔵書になってしまったそうである。


長い年月が経ち、彼が今度は年配の上司になった。

そしてそこに『自分史』という本が送られてきた。(たぶん題名はこれだったと思う。)

立派なハードカバーの本で、出版社もしっかりした所。

が、中を見てみると、そこには一文字も字が書かれていない。

白い紙が延々と綴られているだけ。

つまりこれは、その本を買った人が自分の事をその中に書き込み、自分だけの自分史を作ってくれという趣旨の本だったのだ。

その本の意外な趣向が当たって、世の中にではそれなりに売れたという。

だがこれは本なのか、ノートなのか?

彼は世間で売れた実績を買って「これは本だ。」と判断した。

でも若い職員たちは「いくらなんでも、これは本とは言えない。」と判断が分かれた。

結局彼は、自分の職権を振るって、自分の判断でその本を蔵書にしてしまった。


またかなりの年月が経ち、彼は国立国会図書館を退職した。

そしてその時の事を今になって思い起こしてみると、やはりあの『自分史』は本ではなかったと考えるそうである。

そうして自分が若い頃に上司がやったのと同じ事を、自分もやってしまったと苦く思い出すそうだ。


人間だから間違いもするのは当然だというのは、聞きなれた言葉だ。

だがその人間が間違いに気付いた後も、多分その本は国立国会図書館のどこかの層に眠っている。

きっと誰にも見られる事もなく、忘れられたまま・・・。
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月野

Author:月野
現在、病気療養中の四十代の女性。
最近少し忙しいので、あまり記事も書けないし、コメントの返事も遅くなるかもしれません。
ですが、過去の記事にコメントいただけるのは嬉しいので、歓迎しています。

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