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今日もWが、俺の家にズケズケとやってきた。

「よお親友、今日はいい天気だな。」

俺はお前のこと親友だなんてこれっぽっちも思っていないんだ、という俺の思いとは全く関係なく、Wは平気で家の中へ入ってくる。

見れば彼の腕の中に、六匹の子猫がミャーミャー泣いている。

そしてWの足元には、その母猫であるアケミがWに向かってシャーと威嚇をしたり、子猫を取り戻そうとWをひっかきまくっている。

・・・どう見ても、この飼い主と猫とは信頼関係がなさそうだ。

「どうしたんだよ、その子猫。」

俺が聞くとWは、

「天気がいいからな、日向ぼっこをさせてやろうと思って連れてきたんだよ。」

とのたまう。

日向ぼっこぐらい自分の家でやればいいじゃないか、第一母猫が・・・と言おうとした俺を尻目に、Wは俺の家の二階へ続く階段をダンッ、ダンッ、ダンッ、ダンッと登り始めた。

ものすごい足音を立てて。

二階に着いたWは、

「ほーら、ここの部屋は暖かいだろ。日向ぼっこに最適だ。」

と勝手に子猫たちを放した。

とたんにアケミが子猫とWの間に割り込んで、毛を逆立てて自分の飼い主を脅し始めた。

「おいW、お前とこの母猫、うまくいってないだろ。」

「そんなことないぜ、仲良しこよしさ。」

そういうWを、仲良しこよしのアケミが威嚇しまくってる。

・・・深く追求するのは、止めておいた方がよさそうだ。

話題を変えようと、俺は聞いた。

「そういえば、子猫の貰い手はもう見つかったのか。」

「ああ楽勝、楽勝。八匹のうち七匹は貰い手が決まってるぜ。」

俺は子猫の数を確認してから、もう一度聞いた。

「・・・子猫は六匹しかいないぞ。」

「あっそうだっけ。そうそう、六匹のうち五匹の間違いだった。」

俺は確信した。

子猫の貰い手は、まだ一匹も見つかっていない。

まさか全部家に置いていくつもりじゃないだろうな・・・いや、きっとWはそのつもりで来ている。

子猫を降ろしてホッとしているWの顔を見つめながら、俺はその思いを強くした。

だけど家にはポチ・・・じゃなくてタクローがいる。

猫が大嫌いな犬だ。

猫を六匹も置いていかれたら大迷惑だ。

今回は、何としてでも手を打たなければならない。

「おいW、お前子猫を家へ置いていくつもりだろう。」

単刀直入に聞いたが、都合の悪い質問は聞こえなくなると言った都合のいい耳を持ったWは、ランランと俺の家の冷蔵庫に向かおうとする。

俺はその腕をむんずとつかんで、

「おい、置いていく気なんだろ。」

といつになくスゴみをきかせた声で言った。

するとWは、今度は聞こえないフリはできないと思ったのか、

「まっさかあ、何の断りもなく人の家に子猫と母猫を置いていくなんて、そんな迷惑な事する訳ないじゃないかあ。」

とわざとらしく驚いて言った。

そうか、子猫だけじゃなく母猫も置いていく気だったのか。

「そうだよな、迷惑だよな。だったら猫を連れてすぐに帰れ。」

「ええ、今来たばっかだよ。それにまだ何も食べてないし・・・。」

「あのな、人の家に勝手に入ってくるのはまだ許してやる。人の家の冷蔵庫を漁るのも、もう少し許してやる。だけど猫を放置していくのだけは許さない。俺の友人でいたいんだったら、今すぐ猫を連れて帰れ。」

いつになく厳しい俺の声を聞いて、やれやれといった感じでWは子猫の回収にかかった。

そのWを、アケミが攻撃しまくっている。

やっと子猫を回収したWは、

「こんなに可愛いのに、何で飼いたくならないんだろうねぇ。」

なんてブツブツ言いながら階段を降りはじめた。

ダンッ、ダンッ、ダンッ、ダンッというものすごい音を立てて。


家から出たWに、一つ質問をしてみた。

「お前、階段の上り下りの時、なんであんなにものすごい音を立てるんだ?」

するとWは答えた。

「あ、あれは最近膝を痛めて、ああやって歩いた方が膝に優しいからだよ。」

マジかよ。

膝が痛い人間が、家の中に鳴り響くほどの音を立てて階段を上り下りした方がいいだなんて話聞いたことないぜ。

本当か嘘か分からない話を聞いて、疑問に思いながらWの小さくなっていく背中を見送った。

・・・また戻ってくるといけないから。
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プロフィール

Author:月野
現在、病気療養中の四十代の女性。
最近少し忙しいので、あまり記事も書けないし、コメントの返事も遅くなるかもしれません。
ですが、過去の記事にコメントいただけるのは嬉しいので、歓迎しています。

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