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『握手』という短編の中に、とてもいい言葉を見付けた。


「仕事がうまくいかないときは、この言葉を思い出してください。

 『困難は分割せよ。』

 あせってはなりません。

 問題を細かく割って、一つ一つ地道に片づけていくのです。

 ルロイのこの言葉を忘れないでください。」


この言葉を、東日本大震災で被災した人達と、

被災はしていなくても、日本を覆う漠然とした不機嫌を感じている人達と、

そして、

その中で細々と生きている病気を抱えた人達と、

全ての人に送りたい。
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井上ひさしさんが亡くなって、彼の代表作『吉里吉里人』を読んだ事を思い出した。

この本は家にはないのだが、父が中学生だった兄に向って、

「高校になったら『吉里吉里人』は読んでみろ。面白いぞ。」

とよく言っていたので、印象深い本だった。

高校生になった兄が借りてきたその本は、まだ小学生だった私にはびっくりするぐらい厚くて、この本を読み切るのは大変そう・・・と思っていたが、兄は確かケラケラ笑いながら本を読み進めていたような記憶がある。

やがて私も中学生になり、父がいつその本を勧めてくるのか楽しみに待っていたのだが、待てど暮らせど父からのお勧めの言葉がない。

だが兄にあれだけ進めていたのだから、絶対に私も読んでやると思って、ある日『吉里吉里人』を借りてきた。

内容は、東北の一寒村が独立国家を名乗り、変におかしく国家を運営していくというもの。

例えば通貨。

独立国家なので独自の通貨を持つのだが、そこは東北の貧しい村、偽造されないような高い水準の紙幣など作る技術もない。

そこで、どうするか?

吉里吉里人達は、紙幣を偽造する人達の心理を考える。

真似できないよう、偽造されないようにと細心の注意を払って作られた紙幣を偽造できた時、彼等は特別な喜びを感じる。

仕事を達成した喜びだ。

しかし、もしその紙幣が誰にでも真似ができ簡単に作れるものだったら、彼等はどう思うか。

しかもその紙幣が、小学生が描いたようなへたくそな絵で出来ていたとしたら。

・・・偽造者達は一見しただけで、作る気をなくしてしまうという。

こんな誰でも作れるものを、わざわざ自分の力を使ってまで作る気は起らない。

そこに偽造の喜びがないから。

という訳で、吉里吉里国の紙幣は、吉里吉里国の小学校で作られる。

小学生達の下手な絵を使って(笑)。

という感じで一事が万事進んでいくのだが、またこの小説を書いた井上ひさしの姿勢も面白い。

『老人と海』を書いたカフカは、短くまとまった文章を書くために立ったまま小説を書いたと言うが、井上ひさしは全くその逆をいく。

一つの事柄を書くために、いかに無駄な言葉を多くして、いかに長々しく文を続けられるか、それを実践してみたのがこの『吉里吉里人』だという。

なので悪く言えばダラダラ文がダラダラダラダラ続いている作品なのだが、それはそれ、普通とは逆をいった姿勢自体に面白みがある。

読み終わってみて、まあそれなりに面白いと思ったのだが、父が私に進めなかった訳も分かった。

少々女性のストリップシーンが出てくるのだ。

これを思春期の娘には読ませたくはなかったのだろう。

私が『吉里吉里人』を読み終わってから父に読んだという報告をしたら、

「お前、読んだのか?!」

と、びっくりしたような笑ったような顔で父は言った。

「読んでしまったのなら仕方がない。」とでもいったような表情だった。

その顔を見て、私は「してやったり」とでもいうような感情を抱いたものだ。

今はもう懐かしい『吉里吉里人』をめぐる本と家族の思い出でした。
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月野

Author:月野
現在、病気療養中の四十代の女性。
最近少し忙しいので、あまり記事も書けないし、コメントの返事も遅くなるかもしれません。
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